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冬になると、包装作業中に袋が手に張り付いたり、段ボールの中で製品にホコリがびっしり付いたり…といったトラブルが増えませんか? 実は、冬特有の環境が静電気の発生を加速させています。
静電気が発生しやすくなる条件は、主に2つあります。
湿度の低下(乾燥)
湿度が40%以下になると、空気中の水分が減り、静電気が逃げ場を失って物体に溜まりやすくなります。
摩擦の増加
冬場はフリースやウールなど厚着をするため、作業者の体自体が帯電しやすくなっています。その状態でポリ袋やフィルムに触れると、強力な放電が起こります。
精密機器・電子部品の破壊(ESD損傷)
これが最も深刻なトラブルです。人間が「パチッ」と感じるのは約3,000V以上と言われていますが、電子部品(ICや半導体)はわずか10V〜100V程度の静電気で破壊されることがあります。
異物・ホコリの吸着による品質不良
梱包材自体が帯電していると、わずかな隙間から異物を吸い込みます。
作業効率の著しい低下(静電気付着)
フィルムが手に張り付いて離れず、製品を中に入れるのに手間取るなどのロスが発生します。
火災リスクと労働災害
乾燥する冬場は特に火災のリスクが飛躍的に高まります。
加湿を徹底する
加湿器の使用や、霧吹きで床を軽く湿らせるだけでも効果があります。目標は湿度50〜60%です。
導電性のあるものに触れてから作業する
作業前に金属製の棚や柱に手を触れ、体に溜まった電気を逃がす習慣をつけましょう。
帯電防止スプレーの活用
作業台やコンベア、緩衝材などにスプレーすることで、一時的に電気を逃がすことができます。

市販の対策だけでは不十分な場合、梱包材そのものを「帯電防止仕様」に切り替えるのが最も確実です。帯電防止袋は、発生した静電気を素早く外へ逃がす(減衰させる)性質を持っています。
帯電防止袋には、大きく分けて「練り込み型(界面活性剤型)」と「持続型(高分子・非移行型)」の2種類があります。
練り込まれた界面活性剤が時間の経過とともに表面に染み出し(ブリードアウト)、空気中の水分と反応して電気を逃がす膜を作ります。持続型に比べて安価で、短期間の使い捨てやホコリ除けに最適です。ただし、ブリードアウトによる製品への添加剤付着のリスクがあるため、電子基板や精密機器への使用は推奨しません。

樹脂そのものの構造に、電気が流れる通り道(導電性ポリマーなど)を組み込んだタイプです。樹脂中の金属イオンがイオン伝導体となり、静電気を逃がします。成分が染み出さない(ノンブリード)ため、被包装物への移行による変質がありません。練り込み型に比べ高価ですが、湿度依存もなく安定的に効果を持続することができます。

■練り込み型と持続型の特徴比較
| 特徴 | 練り込み型(界面活性剤) | 持続型(高分子・非移行) |
| 価格 | 安価(コスト重視) | 高価(品質重視) |
| 効果の持続性 | 期間限定(半年〜1年程度) | 半永久的 |
| 湿度依存 | 弱い(湿度40%以下で低下) | 強い(乾燥しても安定) |
| 内容物への影響 | 成分が移行する可能性あり | 移行なし |
| おすすめ用途 | 一般部品、一時的なホコリよけ | 電子基板、精密機器、長期保管 |
【比較実験】 通常のポリ袋と帯電防止袋に粉砕した紙を入れて振ってみると、通常の袋は静電気で内側に粉がびっしり付着しますが、帯電防止袋はさらさらとしたきれいな状態を保ちます。





帯電防止と同様に静電気を逃がす役割がある袋です。帯電防止との決定的なちがいは、「電気の流れやすさ(抵抗値の低さ)」にあります。
以下の図の通り、帯電した電圧が瞬時に無くなるのが導電性の特徴です。また、帯電防止の持続型は練り込み型に比べて短時間で減退します。
導電袋は、ポリエチレンにカーボンを練り込んでいるため、見た目が真っ黒なのが特徴です。
極めてデリケートな超精密基板やセンサー、発火性粉体の包装に適しています。

製品を包む気泡緩衝材にも、静防(帯電防止)タイプや導電タイプのものがあります。「守る」と「防ぐ」を両立。袋と併用することで、衝撃対策と静電気対策を同時に行えます。


帯電防止袋の性能を比較する際、必ず目にするのが「表面抵抗値」という指標です。これは、「その物質の表面を、どれだけ電気が流れやすいか(逃げやすいか)」を数値化したものです。
単位は「Ω(オーム)」で表されます。この数値が低ければ低いほど電気が流れやすく、静電気が溜まりにくいことを意味します。一般的に、包装資材は以下の3つの領域に分類されます。
絶縁性:10¹³Ω以上
一般的なポリ袋など。電気が全く逃げず、静電気が溜まり放題の状態です。
帯電防止・静電気拡散性:10⁶ Ω 〜 10¹² Ω
発生した静電気をゆっくりと安全に逃がします。電子部品の包装に最も適した範囲です。
導電性:10⁵ Ω 以下
電気が非常に流れやすい状態です。瞬時に電気を逃がしますが、電池や通電中の基板を入れるとショートする恐れがあるため注意が必要です。
品質の証明: 「静電気が起きにくい」という感覚的な言葉ではなく、「表面抵抗値 10¹⁰ Ωを維持」と数値で示すことで、精密機器メーカー様への納品時にも品質を保証できます。
環境変化への対応: 特に「持続型」の帯電防止袋は、冬場の低湿度下でもこの数値が安定しているのが強みです。
数値の肩についている数字(指数)が「1」変わるだけで、抵抗値は10倍変わります。製品のデリケートさに合わせて、最適な数値の資材を選ぶことが重要です。

今回導入いただいたお客様は、プラスチック容器や一般工業部品を製造されており、製品保管時や輸送時における「静電気による埃(ホコリ)の吸着」に悩まされていました。 一般的なポリ袋では、・・・

今回導入いただいたお客様は、車載向けの精密電子基板や高感度な光学センサーを製造されており、梱包材に起因する品質不良の解決が急務となっていました。 従来の界面活性剤を使用した静電防止袋では、・・・

今回導入いただいたお客様は、爆発の危険性がある粉体(薬品・化学原料)や、極めて静電気に敏感な半導体ウェハー関連部品を扱われていました。 従来の帯電防止袋では、・・・
静電気対策は、単なる不快感の解消ではなく、製品の品質保証と作業効率の向上に直結します。
「コスト」と「品質」のバランス: 短期なら「練り込み型」、長期・精密機器なら「持続型」を。
冬場の安定性: 湿度の影響を受けにくい「持続型帯電防止袋」や「導電袋」を検討。
形状の最適化: 既製品だけでなく、内容物に合わせた別注サイズ(平袋・角底等)にすることで、余計な摩擦を防ぐ。
弊社では、製袋加工メーカーとして、お客様の製品特性や現場環境に合わせた最適な別注袋のご提案を行っております。表面抵抗値の選定からサイズの設計まで、静電気トラブルでお困りの際はお気軽にご相談ください。