
冬の寒さが和らぎ、春の訪れを感じる一方で、物流や保管の現場では「結露」や「湿気」によるトラブルが増え始める季節でもあります。
気温差の大きい春先は、輸送中や倉庫内で結露が発生しやすく、製品の品質低下や外装不良、クレームにつながるケースも少なくありません。
本コラムでは、春先に起こりやすい結露・湿気トラブルの原因と、包装資材でできる具体的な対策についてご紹介します。
▼目次
空気中には目に見えない水蒸気(水分)が含まれています。この空気が冷たい物体の表面に触れると、温度が下がり、水蒸気が水滴へと変化します。これが「結露」です。
ポイントは「露点温度(ろてんおんど)」です。
空気は温度が高いほど多くの水分を含むことができますが、温度が下がると保持できる水分量が減少します。空気がある温度まで冷やされ、水蒸気が水滴に変わり始める温度を露点温度といいます。
つまり、
暖かく湿った空気 + 冷えた製品・包装材 = 表面温度が露点以下になり結露発生
という仕組みです。
冬は全体的に低温・低湿で安定しやすく、夏は高温でも温度差が比較的小さいです。
しかし春は、気温差が大きく湿度が上昇しやすい傾向にあります。
特に春先は、以下のような状況に起こりやすいです。
・夜間に冷えた製品や段ボール
・日中に上昇する外気温
・湿度が高まりやすい気象条件
・地域間輸送による温度差

たとえば、寒冷地で保管されていた製品を暖かい地域へ輸送した場合、製品や包装材は冷えた状態のままです。そこへ暖かく湿った空気が触れると、表面温度が露点を下回り、結露が発生します。
トラック内や倉庫内でも同様の現象が起こります。

段ボールは紙を主原料としているため、湿気を吸収すると繊維が水分を含み、圧縮強度が低下します。高湿度環境では箱のつぶれやたわみ、角の変形が起こりやすくなり、積み重ね保管時に荷崩れを引き起こす原因となります。また、パレット輸送中に沈み込みが発生したり、外観が損なわれることで製品全体の印象を悪化させることもあります。
対策:
保管場所の湿度管理を徹底し、床からの吸湿を防ぐためにパレット保管を行います。必要に応じて、防湿袋による内装包装やシュリンク包装で外気の影響を抑えることも有効です。また、段ボールを耐水・撥水性のある仕様を選ぶことでトラブル防止につながります。
クラフトテープは温度や湿度の影響を受けやすい資材です。結露や高湿度環境ではダンボール表面に微量の水分が付着し、粘着剤が十分に密着できなくなります。その結果、フラップ部分が浮いたり、テープの端部が剥がれたり、長期保管中に自然剥離が起こるといったトラブルが発生します。特に春先の寒暖差による結露は、輸送後に粘着不良が顕在化するケースも少なくありません。
対策:
梱包前に段ボールを使用環境に十分なじませ、温度差による結露を防ぎます。寒冷地から暖地への移動後は即梱包を避け、資材温度を安定させることが重要です。用途に応じて耐寒性・高湿度対応タイプのテープを選定することも効果的です。
湿気は印刷インク層にも影響を与えます。とくに水性インクや乾燥が不十分な場合には、吸湿によって文字やロゴがにじむことがあります。その結果、バーコードの読み取り不良や表示内容の視認性低下を招き、最悪の場合はブランドイメージの毀損につながる可能性もあります。
対策:
耐水・耐湿インクの採用や、表面コーティング加工を検討します。また、高湿度環境での長時間保管を避け、防湿包装によって外気から遮断することが有効です。
ラベルも粘着剤を使用しているため、湿度環境に左右されます。被着体の表面に水分があると接着面が安定せず、浮きや剥がれが生じやすくなります。特に温度差による結露が発生すると、輸送後や倉庫保管中にラベルが自然に脱落するケースも見られます。
対策:
貼付前に被着面の水分・温度を確認し、結露状態での貼付を避けます。耐湿仕様ラベルや強粘着タイプへの切り替えも検討材料となります。
湿気は、精密部材や機能性部品、金属部材などに対して大きな影響を及ぼす可能性があります。微量の水分であっても、内部部材の腐食や接点の酸化、絶縁性能の低下などを引き起こし、機能不良や品質トラブルにつながることがあります。
また、金属部材や表面処理品は空気中の水分と反応して酸化が進行します。わずかな結露や高湿度状態でも、局所的な水分付着が続けば腐食が進み、外観不良や性能低下を招きます。特に密閉空間内で湿気が滞留すると、気づかないうちに劣化が進行するケースもあります。
外観上は問題がなくても、内部で品質低下が進行している可能性があるため、湿気対策は製品保護の観点から非常に重要です。
対策:
高バリア仕様の防湿袋による密封包装を基本とし、乾燥剤の併用によって内部湿度の上昇を抑制します。必要に応じて防錆紙や防錆フィルムを組み合わせ、輸送・保管時の温度差をできるだけ小さくすることが効果的です。湿度インジケーターによる管理も、品質維持に有効な手段です。
結露や湿気から製品を守るためには、防湿性能を持つ袋の使用が効果的です。
防湿袋には主に「透明タイプ」と「アルミタイプ」があり、用途や求める性能によって使い分けることが重要です。

透明防湿袋は、内容物を目視で確認できる点が大きな特長です。
防湿性能を持つ多層フィルムを使用しており、湿気の侵入を抑えながらも作業性を損なわないため、検品や在庫管理が必要な現場で多く使用されています。
電子部品や精密部品、樹脂製品など、結露や湿気を嫌うものの、頻繁な開封・確認が必要な製品に適しています。
乾燥剤と併用することで、包装内部の湿度をより安定させることができます。

アルミ袋は、アルミ箔を使用した構造により、湿気や水蒸気をほぼ遮断できる高い防湿性能が特長です。
外気の影響を受けにくいため、長期保管や海外輸送、温度差の大きい環境での使用に適しています。
金属部品や電子デバイス、精密機器など、湿気による品質劣化リスクが高い製品では、透明袋よりもアルミ袋が選ばれるケースが多くあります。
こちらも乾燥剤との併用により、より確実な湿気対策が可能です。
結露や湿気対策を検討する際、多くの方が悩まれるのが
「透明防湿袋とアルミ袋、結局どちらを選べばよいのか?」 という点ではないでしょうか。
透明タイプは中身が見えて作業性に優れ、コスト面でもバランスの取れた仕様です。
一方、アルミ袋は水蒸気をほぼ遮断できる高いバリア性能を持ち、長期保管や過酷な輸送環境に適しています。
どちらが“優れている”という単純な話ではなく、
保管期間・輸送環境・製品特性によって最適解は変わります。
比較表にまとめてみました。
| 比較項目 | 透明防湿袋 | アルミ袋 |
|---|---|---|
| 防湿性能 | 中程度(十分な防湿性あり) | 非常に高い(高い遮断性) |
| 内容物の視認性 | ◎(中身が見える) | ×(中身が見えない) |
| 作業性(検品・出し入れ) | ◎(そのまま確認できる) | 〇(開封後の確認) |
| 保管・輸送環境 | 室内保管・短期輸送向け | 温度差激しい環境・ 長期保管向け |
| 乾燥剤との組合せ効果 | 〇(十分効果あり) | ◎(より高い効果を発揮) |
| コスト感 | 通常〜中程度 | やや高め |
| 主な適用例 | 電子部品、樹脂部品、 検品頻度の高い製品 | 精密機器、金属部品、 長期保管品 |
防湿袋の性能を評価する際に用いられるのが、
水蒸気透過度(WVTR:Water Vapor Transmission Rate) という指標です。
これは、
一定の温度・湿度条件下で、1㎡あたりを24時間でどれだけの水蒸気が透過するか
を数値で表したものです。
単位は一般的に「g/㎡・24h」で示され、
数値が小さいほど防湿性能が高いことを意味します。
測定条件:40℃×90%RH
| 材質 / 構成 | WVTR目安(g/㎡・day) | 防湿レベル |
|---|---|---|
| LLDPE(単層) | 8~15 | 低~中 |
| HDPE(単層) | 4~8 | 中 |
| 透明防湿袋(NY/PE多層) | 1~5 | 中~高 |
| 高バリア透明(改良多層) | 0.3~1.0 | 高 |
| アルミ防湿袋(アルミ箔積層) | 0.01~0.1以下 | 極めて高い |
春先は寒暖差や湿度上昇の影響により、結露や水蒸気による品質トラブルが発生しやすい季節です。
目に見える結露だけでなく、ゆっくりと侵入する水蒸気も製品品質に影響を与えるため、防湿性能を数値(WVTR)で確認したうえで資材を選定することが重要です。
透明防湿袋は作業性と実用防湿性のバランスに優れた仕様、
アルミ防湿袋は長期保管や高湿度環境に対応できる高バリア仕様という、それぞれ明確な特長があります。
製品の材質、保管期間、輸送環境に応じて最適な仕様を選ぶことが、トラブル未然防止とコスト最適化の鍵となります。
また、防湿袋は内容物や梱包形態に合わせたサイズ設計も重要です。
別注サイズのご相談は、パッケージ・ラボまでお気軽にお問い合わせください。